「冬」が訪ねて来た。
「今日が自分の人生で最後の日のつもりで毎日を精一杯生きる」
存分にクリシェなフレーズだけれど、真実だと思う。完全に実践できているわけでは勿論ないけれど、それでも少しでもそうありたいと思ってきた。
だけど、今日、この言葉が間違っていることに気づいた。少なくとも私にとっては。
そう、「冬」が玄関口に訪ねて来たのだ。わたしにではなく、わたしの最も大切なひと宛に。じつに突然に。
今日がもし「自分の最も大切な人」の最後の日だとしたら・・・私はそう考えて日々を過ごすべきであった。
唐突な「秋」の終わり。
島崎藤村は、ステロタイプの仮面をかぶった「冬」の、その仮面の下の顔に気づくことができた。
でも、わたしは、あなたとわたしの残り時間にどんな意味を見出したら良いのだろう。
とても動揺している。
わたしはあなたを少しでも幸せにしてこれただろうか。
ほんの少しでも幸せにしてあげたい。